ふと気が付いたら、目の前にクリス松村が立っていた。ブラウン管を通して(今時ブラウン管なんて家庭からなくなっちゃったけど)観るよりも恰幅よろしく、互いの胴の距離は 15cm 程度。顔はドアップだ。衣装さんの仕事が済むと、彼はレンズの向こうの世界へと歩みを進めていった。

Televisionってな感じで、某 TV ショッピング番組の収録スタジオに行ってきました。

私たちインフォマークスはネット通販のお手伝いがメインで、TV 通販そのもので糧を食んではいません。それでも、EC 事業者のみなさんにとっては、それぞれが販売チャネルとしての選択肢であり、我々もバランスを尊重します。

言うまでもなく、圧倒的強い影響力を持つテレビという媒体、上手に使えたら勝ちです。商品を手に取ることのできない通販にとって、その魅力を最も伝えられるチャネルです。

オムニチャネルなテレビショッピング

今般注目されている「オムニチャネル」は、ネットと実店舗だけの O2O ではなく、買物客を中心に見た時、TV 通販もまたタッチポイントの一つです。ただ、ここで気を付けておきたいのが、全ての TV 通販がオムニチャネルかというと、そうではないということです。

例えば、老舗の日本文化センターで売るとしても、それはあくまで「卸」です。顧客情報は手に入りません。次の手は打てません。この辺り、ネット通販で言うところのモールに少し似ていますね。ネットでもテレビでも、自分の「のれん」で営業する「本店」(独自ドメイン)型の強みがあります。
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[TV 通販の種類]

テレビショッピングで売れる商材

化粧品生活雑貨や家電は売れなくなったそうです。

健康食品、食品、化粧品。これが今日の稼げる商品。

このことが「お茶の間」客層の変化を如実に物語っています。いえ、「客」自体は変わっていなくて「時間」が経過したというべきでしょう。単純に数字で見るほど、客が離れてはいないのです。

かつては「小さな子供を持つ主婦」が消費者の典型でした。彼女たちは家庭に必要なものをテレビショッピングで購入したのです。しかし、今日の「小さな子供を持つ主婦」はネット通販に慣れて育っているので、TV 通販に依存しません。では、PC やネットを不得手としていた彼女たちはどこへ行ったのでしょう。

実は、今も「お茶の間」にいます。既に子供たちは独立し、時間とお金に一定の余裕ができました。ただ、ライフスタイルと肉体の変化に伴い、買う物が変わっただけなのです。

暴言を吐きましたが、無論、TV 通販も昔ながらのマス広告ではなくなってきています。お年寄りが床に就いた深夜帯にも通販番組のあるのが、その証です。EC のようにインタラクティブではないけれど、セグメンテーションを図っています。

また、TV 通販の弱みとして「引き潮に弱い」という面があります。1クール(3ヶ月)は撤退できませんから。当たれば大きいので、博打要素は否めません。「通販王国」と呼ばれる地域はご存知でしょう。テレビ通販の成功事例が目立ちます。一方、裏事情としては、局側の未回収の最も多いのもあの地域であったりします。

台本に対する考え方の変化

脚本

さて、スタジオ内の観客席には「ガヤ」あるいは「賑やかし」と呼ばれる、厚労省の定義で言えば「中年」以上に属すると思しき女性たちが15人配置されていました。例の「笑い、相槌、感嘆、拍手」アクションの担い手ですね。「被せる」(音響効果としてアフレコする)ことはしていないそうで、音声さんが彼女たちの頭上へ一所懸命ブーム(先っぽにマイクのついた物干し竿のようなもの)を伸ばしていました。

AD さんがサインを出したり煽ったりはしていません。P 曰く、「昔と違って、そういうわざとらしい演出はウケないし、今は自然発生したリアクションの方が視聴者にウケる」のだそうです。「予定調和より言霊(ことだま)」ということを繰り返しおっしゃっていました。

調整室で知る「高嶺の花」の努力

Microphoneスタジオにはカメラが5台出ていました。アングルに乏しい通販番組にしては「多いな」というのが正直な感想です。撮影スタジオのさらに裏の、調整室も見学させてもらいました。カメラが5台あるので、「本線」(所謂「放送中」のカメラ)の他に「アイソ」(選ばれていないカメラ)が4台ある道理です。ところが、全5台で「レック」(録画)しているのです。この贅沢さに驚きました。

しかし、これこそがコスト削減の秘訣だったのです。何本もの尺(ビデオの時間)やテレビ以外の媒体(YouTube など)に向けたクリップを同じソースから作ります。タレントの拘束時間は極力短くしたいですよね。他方、調整室にいる若いスタッフがスイッチ(カメラの切り替え)などしていますが、失敗もあるでしょう。つまり、カメラマンやスイッチャーが失敗しても、「どこかに使えるものが映っている」ように備えてあるのです。

これこそは、1台で撮る映画との違いでもあり、そもそもテレビの文化と経済原則です。動画の用途が増えたり変わっても、テレビがテレビである由はこんなところにあります。我々は、その「テレビ品質」のコストパフォーマンスを最大化することを考えなければなりません。決して、はなから諦めるほど「高嶺の花」ではなくなってきています。

ロケ弁、ごちそうさま

スタジオ内は撮影禁止でしたので、気の利いた画像はありません。せめてものリアリティということで、私たちに用意されたロケ弁の写真を掲げておきます。

ロケ弁

大変美味しゅうございました。「ロケ弁」専門店がネットにもありますので、新鮮な気分を味わいたい方は検索してみてください。

末筆ながら、オムニチャネルの一つに「初めてのテレビショッピング」もお考えの EC 事業者のみなさん、インフォマークスにご相談ください。

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